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2026年11月3日火曜日

Pustaha  (プスタハ)



今日は文化の日です。それぞれの民族が持つ文化を尊重し、お互いを思いやって平和に過ごしたいものです。

今日の品紹介は、アリムという木の皮に記された、インドネシア、バタック族の古文書です。シャーマンが占いや神話等を記録したもので、儀式や判断を行う際の参考書として利用されたそうです。
2016年のブログで、『文字の博覧会』という展覧会に行った後の感想文を書きましたが、その会場でもプスタハが展示されていたのかも知れません。そこでの展示物全てが、京都で印刷業を営んでいらっしゃった故中西亮さんの集められたもので、情熱を持って収集された姿に頭が下がります。
私は若い頃、プリミティヴ・アートのコレクターでしたが、インドネシアのものは全て海外で購入したので、まさかこのような古文書を日本で入手できるとは思っていませんでした。


この本が日本へ持ち込まれた際、東京税関時報 (昭和51年7月25日付) に載せられた記事が下のものです。今から丁度50年前ですね。全文をそのママ記載します。

木の皮の書籍
6月23日、インドネシアから700~800年前の木の皮で作られた珍本3冊が輸入されました。
この本は、ジャバラ式になっており、裏表にビッシリ文字や人物等のさし絵が、赤、白、黒の絵具を使い描かれています。
保存がよかったせいか、今日に至るまで虫喰いもせず原型をとどめていますが、残念ながらなんの木の皮か不明です。
輸入者の説明によると、この本は13世紀頃、北スマトラに独自の文化を築いたといわれるバタック族という優れた民族が残したものだそうです。
内容は、当時の天候 (天文学) 、農耕、医学、薬学などが記載されているとのことですが、すべてバタック語のためチンプンカンプン。
輸入者はインドネシアで材木などを扱う商社の人で、民族研究家から依頼され輸入したとのこと。
ちなみに、バタック語をほん訳できる人は、日本でただ1人、大阪に在住しているそうです。

豆知識  バタック族
バタック族とは、インドネシア・スマトラ島の北部にあるトバ湖の周辺に居住する原マライ人に属する種族で、人口100万人といわれています。
元来、インドネシアの人々の祖先は、紀元前1,500~1,000年に大陸から移動してきた集団で、本質的にはインドシナ半島及び南シナの人種と同じマライ人ですが、これは原マライ人 (バタック族やボルネオ島のダイヤック族など) と新マライ人、ジャワ人、バリー人などに分けられます。
原マライ人は新マライ人によって島の奥地の山中に追いやられ、そこで古い生活様式や固有の文化、儀礼を守ってきました。
バタック族は、固有の言語、文字、暦などをもち、原始宗教としてのマニミズム (アニミズムの間違いであろう) 、自然崇拝、祖先崇敬などの固有のバタック文化を受けついで生活していますが、20世紀に入っても食人の習俗 (現在はない) が行われていることは有名です。


下に、この本の画像をいくつか掲載します。






2026年11月2日月曜日

特別展 『沙流川に生きる・サルンクルの近代』  at 国立民族学博物館

今日は、上記タイトルの企画展を観てきました。
日高山脈に源を発し太平洋に注ぐ沙流川の流域では、古くから多くのアイヌ民族が暮らし、現在までその歴史を刻んでいます。この特別展では、その流域で集められた工芸品が多く展示されていますが、特に明治以降、アイヌ民族に対する非人道的な政策が日本政府によって行われ、内地の日本人からも蔑視される状況が現在まで続いています。
排外主義が叫ばれる現在、外国人に対してだけではなく、日本国内でも同じ国民に対しての差別がなくなっていません。
日本人への同化政策がどのように行われてきたかを知る事ができ、他者を思いやるための勉強にもなるでしょうから、多くの人に是非観ていただきたいと思います。



2026年10月27日火曜日

高麗青磁中壺



今日の品紹介は高麗青磁中壺です。手捻りで作られているので歪みもあり、昔の朝鮮では雑器だったのでしょうが、桃山時代の日本では茶人に好まれたことでしょう。轆轤を使っていないところから、10~11c頃の作だと思われます。時代がありながら、口縁に極小のソゲのみ、水漏れもなく無疵で通る状態です。
高さ22.4cm
 

2026年10月20日火曜日

海揚がり魚文大鉢



以前にもギリシャのマルマラ海揚がりの陶器を紹介しましたが、この品も同じ沈没船から揚がった大鉢で、デフォルメした魚文が描かれています。12cの沈没船なので、900年近くも海中にあったため貝殻の付着がありますが、パティーナが美しく、果物入れに利用しても良し、そのまま飾っても見応えがあります。直径27.5cm、高さ9.6cm


2026年10月18日日曜日

展覧会 『躍動する明代の書』  at 大阪市立美術館

今日は、上記の展覧会を観てきました。
私は字が下手だし、書には興味がなかったのですが、招待券をいただいたので美術館へ・・・。
書というのが分からないだけに、どれが良いのか評価ができなかったものの、躍動感を感じる一部の書には惹かれました。自分にとって、書体にアーティスティックな形を感じ取ったのでしょう。
私が気に入っている石仏のコレクションを常設で観ることができ、満足しました。
ご興味のある方は、どうぞご覧になって下さい。12月20日まで開催しています。



2026年10月13日火曜日

金剛鈴

今日は、金剛鈴の残欠と完品を紹介致します。



これは金剛鈴の残欠ですが、中国、遼代 (AC907~1125) のもので、契丹仏教の密教儀礼に使用されました。
上の部分は顔がデザインされており、残欠だと聞かなければ、これ自体が立像のように思えます。
元は、顔部分の上に持ち手があり、下にはベルがあったわけです。高さ10.7cm (含台)



こちらは完品の金剛鈴 (五鈷鈴) で、チベット密教の儀礼に使われました。時代は100年程前のもので、それ程古くはないのですが、振った時の音色が素晴らしいのです。持ち手の五鈷のすぐ下には顔がデザインされています。高さ15cm


2026年10月6日火曜日

半通印



中国、戦国時代の半通印と呼ばれる、直方体の青銅印です。調べてみると、当時の官吏が使用した、官印もしくは私印だったようです。長さが2.4cmで、先端には『風御』という字をデフォルメして陰刻されています。丁度、穴が開いていたので、銀の環を取り付けて、ペンダント・トップとして使えるようにしました。
まあ、当時の官吏も、紐を通して身に付けていたのでしょう。
それにしても、2500年程前に、戦国玉であったり、このようなしっかりとしたモノを作った中国には驚かされます。その頃の日本は、裸に近いような身なりで生活していたのでしょうから。