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2015年7月16日木曜日

アニミズムとシャーマニズム

以前にブログで述べたことがあると思いますが、私のコレクションは30年以上前に現代美術から始まり、次第にアニミズムやシャーマニズムと結びついた、俗にいうプリミティヴ・アートに移っていきました。売り物ではない、己の信仰心を形にした純粋性に魅かれていったのです。ピカソやマティス、その他多くの美術家がプリミティヴ・アートのコレクションをしたり、それらのモチーフを自身の作品に取り入れたことが知られていますが、そういった行為から、美術家自身が純粋性・精神性を重視していたことが窺えます。
アニミズムやシャーマニズムの定義は、人類学者や宗教学者によって考え方が多少違うようですが、アニミズムに関しては、イギリスの人類学者であったエドワード・バーネット・タイラーが1871年の著作「原始文化」の中で書いた、宇宙現象・自然現象に拘らず、森羅万象に霊が宿るという見方が一般的ではないでしょうか。他方のシャーマニズムを、私は単純に、その森羅万象に宿った霊との媒介であると解釈しています。自然崇拝であるアニミズムは人類原初の宗教観であり、日本も例外ではありませんでした。日本でのシャーマニズムで最も有名な例は、邪馬台国の卑弥呼でしょう。女王であった卑弥呼は巫女でもありました。現在も残る、東北のイタコや、神社の巫女もシャーマンそのものです。まあ、現存する神社の巫女は形式的なものになってしまったようですが。
現在数多くある宗教の中でも、アラビア半島で生まれたイスラームは、布教初期には、その地に定着していたアニミズムを崇拝する人々から強い抵抗にあったことで、アニミズムを忌み嫌っているムスリムが多く存在します。しかし、イスラーム法学者である中田考氏(北大生をダーイシュに繋いだとの容疑をかけられている)の考えによると、イスラームはアニミズムに似ているということです。この前の日曜日、中田考氏の講演「メディアの報道するイスラームは真実か!?」が河合塾大阪校であるとの情報が入ったので、聴講に行きました。表向きはスンニ派のイスラーム法学者として発言されているので、スンニ派ムスリム以外にはなかなか納得し難い部分がありますが、ご本人と話をすると、人間としては好印象を受けました。ただ、中田氏は日本で初めて適用される「私戦予備陰謀罪」の容疑者なので、前もって塾生から受付けた質問に対する返答だけで、会場で直接質問できなかったのは残念でした。日曜日は塾が休みですが、300人程入る教室にそれ以上の聴講者(ほとんどが塾生)があったことには驚くと同時に、大学受験のための勉学に励んでいる最中であるにも拘らず、それだけ多くの若者が政治や社会問題に関心を持っていることに喜びも感じました。講師は最近話題になった方ですから、好奇心で参加した人もあれば、問題意識を持っていた人もいたでしょう。直接話を聴かなければ良い悪いの判断もできないのですから、参加することに意義があったのだと思います。河合塾では、塾生を対象に文化や社会に関する講演会を定期的に開催されているようです。学業だけではない、塾生各自に様々な問題を考えてもらうという、良い取組みをされているなあと感心した次第です。政治家のプロパガンダに騙され、国の方向性が変わりつつある昨今、次世代を担う人達が、自己の欲求だけを追い求めるのではなく、公平な世界を作ってくれるようにと願っています。



チベットの占い用羊肩甲骨

チベットには、仏教が流伝した7世紀以前からシャーマニズムとしての占いがあったのですが、仏教の時代になってからも様々な占いが実際に行われています。日本に神仏習合があったように、チベットでも古代宗教と仏教が結びついていて、そこには官制(ニンマ派)と民間のシャーマンが存在します。ただ、日本の仏教との大きな違いは、チベットでは輪廻転生が信じられているため、先祖供養という風習がなく、墓が存在しないのです。今日は、チベットで占いに使用された羊の肩甲骨を紹介致します。長さが30cm近くあり、その大きさ故になかなか迫力のあるものです。どのようなものかは、私が説明するよりも、ダライ・ラマ法王日本代表部事務所ホームページの「チベットの占い」という項目の中で、肩甲骨による占断について詳しく述べられていますので、そちらをご覧になって下さい。