憲法記念日
今日は、日本国憲法が施行されて70年目の日になります。今後、その憲法を見直すという考えが、すでに安倍政権から出ていますが、私達日本人は、どれ程憲法の大切さを理解しているのでしょう。安倍首相をはじめ、改憲に意欲を示す人達は、日本国憲法は日本人が作ったものではなく、アメリカが作ったのだと主張しています。確かに、その憲法は最終的にGHQの「憲法制定会議」により形作られました。ただ、マッカーサーは、当時の日本政府に憲法調査を指示しましたが、その政府による改正案は、国民に主権を与えない、明治憲法のマイナーチェンジでした。マッカーサーは、あくまでも日本の民主化を望んでいたのです。アメリカ人の歴史学者であるジョン・ダワーの「敗北を抱きしめて」上下刊に、その当時の状況が分かり易く書かれていますので、是非ともお読み下さい。その本は2001年に刊行されたものですが、ピュリッツァー賞受賞作です。アマゾンで古本を探せば、上下刊2冊でも1,000円以下で買えると思います。
また、改憲に際して、現憲法を戦前の憲法に戻す動きを耳にします。改憲するにしても、誰に委ねるか、どの政権に任せるかが大切です。昨年から、「日本会議」に関する本が何冊も出ていて、私は2冊読みました。その内の1冊、ジャーナリストの青木理著「日本会議の正体」も、現在の政治を検証する上で大変役に立つでしょうから、お勧めです。「森友学園」問題に関わる政治家全員がその日本会議に属しています。
もう1冊、先月刊行されたばかりの本を紹介致します。我が国では、2013年に特定秘密保護法の成立があり、今また、共謀罪の法制化を与党および一部の野党が目指しています。ここで紹介します新刊は、集英社文庫から出された「スノーデン 日本への警告」で、昨年の6月4日に東京大学本郷キャンパスで行われたシンポジウムを中心に書籍化されたものです。メディアの調査によると、回答した半数以上の日本人が共謀罪立法に賛成しているようですが、賛成されたほとんどの方は、その法律の本質を理解されていないのではないでしょうか。本の帯には、スノーデンの言葉として、「無関心と知識の欠如がもたらす脅威に目を向ける必要があります」と書かれ、本文中には、アリストテレスが言った文章が次のように書かれています。「人々が政府のことについてすべてのことを知っていること、これが民主主義だ。政府が多くのことを知っているが人々が政府のことを知らない、これは専制政治である。」
政治家にとってどんな国民が望まれるかですが、勿論、その政治家を支持する人達は重宝されますが、その他の人は、無知な方が、異を唱えられなくて良いわけです。我々、日本国民は政治家の下部(しもべ)ではありません。能天気で暮らせば、政治家のいいなりになってしまいます。国民それぞれが知識を蓄え、見識を豊かにすることが、良い国造りの役に立てるのではないでしょうか。