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2012年10月11日木曜日

今日は、最近仕入れたモノの中で、多くの人に知られていない二品を紹介させていただきます。


まずは、籐製の籠。フィリピンの山岳民族のもので、室内で薪を燃やすために煤をかぶり、燻された姿に重厚感を感じるが、無駄な装飾を省いたミニマルなデザインは、日本製のものを圧倒する。かなりの時代感があり、底のフレームは黒く錆びた鉄のようにも見える。フィリピンでこんなに素敵なものがあるのかとも思ったが、デンマークに籐の家具では世界一のクオリティとデザインを誇るボナティナというブランドがあり、生産をフィリピンで行っていることを思い出した。はやりものが好きな日本人はヤマブドウの籠を買ったりしているが、同時代のそれらと比べると、価格は十分の一程。あなたなら、どちらを選びますか。仕入れてすぐに買い手がついたが、こんなに珍しい優品をブログで紹介したいと、お客さんから許可をいただいた。ただ、画像では実際の質感を味わっていただけないのが残念である。


次に紹介するのは、江戸時代の苗代川窯の壺。同業者に聞くと、この色に人気がないらしいが、蕎麦釉を掛けて流れたさまに素朴な力強さを感じる。特に、作為のないさまが心地良い。朝鮮から渡って来た陶工が作ったのであろう。柳宗悦もこの窯のものを収集しているが、現代人にはどうも人気がないらしく、かわいそうなくらい値が安い。苗代川窯といってもピンとこない方もいらっしゃると思うが、ようは薩摩焼。薩摩焼といえば、白地に派手な絵付けをした焼物を想像されるだろうが、それらは苗代川窯で上手とされ、シロモンと呼ばれ、今回紹介するような焼物は下手のクロモンと呼ばれている。私には、こちらの方が上手だと思われるのだが。