映画 『教育と愛国』 監督: 斉加尚代 at 第七藝術劇場
今日は、上記タイトルの映画を観てきました。監督は、毎日放送で20年以上にわたって教育現場を取材してこられた女性記者です。日本の戦後教育は、軍国主義へと流れた戦前の反省から、政治と常に一線を画してきましたが、2006年に第一次安倍政権下で教育基本法が改正され、「愛国心」が戦後初めて盛り込まれました。それ以降、「教育改革」「教育再生」の名の下に、教科書検定制度が力を増し、歴史の記述をきっかけに倒産に追い込まれた大手教科書出版社もあったといいます。この映画には、かつて首相を勤めた、安倍晋三、菅義偉や、維新の松井一郎、吉村洋文等が登場し、ドヤ顔で自己の考えを主張しています。なお恐ろしいのは、東京大学の名誉教授の悍ましい主張で、これが我が国で最高学府とされる場の教育者かと思うと、それには驚愕すら感じます。現在のウクライナ問題から、戦前の軍国日本を想像するという意見も度々聞こえますが、それは戦前の話だけではなく、現在進行形で行われているのではという疑念すら感じてしまいます。興味のある方だけではなく、これは是非、多くの国民に観ていただきたい映画だと思います。ちなみに、今日は月曜日であるにも拘らず、観客が多く、昨日は満席で、観ることができない人で溢れたそうです。
映画館の壁面に設置されたボードには、学者・教育者・映画関係者等、多くの方による感想文が掲示されていましたが、前川喜平氏が端的に書かれていたので、それを下に紹介します。
道徳を決めるのは人間の良心であって国家ではない。歴史の真実を追求するのは学問であって政治ではない。愛国を標榜する政治家たちによる教育と学問への不当な支配。これを放置したら日本は1945年以前に戻ってしまうだろう。