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2015年12月28日月曜日

『海の歌う日』大杉栄・伊藤野枝へ - ルイズより  伊藤ルイ著  1985年 講談社刊

私にはルイちゃんという若い友人がいます。彼女と知り合った時、彼女の名前であるルイは、彼女の祖母ちゃんの友人であった伊藤ルイさんに名付けられたことを教えてくれました。それは5、6年前のことだったのですが、つい最近それを思い出し、伊藤ルイさんに付いての知識がないので知りたいと、上記タイトルの古本を買って読みました。
伊藤ルイさんのご両親である大杉栄・伊藤野枝両氏は、アナーキストであるという理由で、たまたま同伴していたまだ6歳の甥と共に、日本の官憲により大正12年に虐殺されました。それはルイさんがまだ1歳と3ヶ月の時です。その後、ルイさんは母方の祖父母に引き取られ育てられましたが、世間では問題の人の子であるとのことから白い目で見られることがありながらも、人から親しまれていた祖父母の人柄の良さや近隣の人々の優しさがあったことで、明るくすくすくと成長したそうです。結婚して4人の子供があったものの、博打や酒にのめり込んだ夫と離婚し、その後は手に職を付け、働きながら市民運動に終生邁進されたようです。
今年、私は色々な本を読みました。多くは哲学者や思想家によるものですが、イデオロギーに関係なくヒューマニズムに溢れたこの本が一番印象に残っています。
気になった文中の一部をそのまま書きますと、「1980年、そこにあったのは声高な改憲論、原発推進、祖国防衛論等々、なりふりかまわぬ世のなりゆき。」結局、現在の政治での大きな問題点は35年前と何ら変わっていないのですね。これは、政治家や官僚に問題があるのでしょうか、それとも政治家を選ぶ国民に問題があるのでしょうか、どうなのですかね。