竈神 (カマドガミ)
この力強い造形物を見た時、何なのか全く分からなかったのですが、これは江戸時代に現在の福岡県で、火伏せを願い、カマドの近くに祀られていた竈神なのだそうです。その竈神をインターネットで調べてみると、中国では大昔から広範に存在していたようで、日本でもカマドが初めて誕生した古墳時代から、祭祀的にそのようなものが置かれるようになり、地域差があるものの、全国にその風習があったようです。確かに、祖父母の時代から存在する我家でも、台所の近くには神棚がありますからね。
これを最初に見た時、木彫かと思ったのですが、実はこれ、新しいカマドを造った際、残りの土を利用して造られたそうで、ひょっとすると新築したカマドの中で焼かれたのかもと想像したりしています。それ程大きくなく、高さは14.5cmです。
下の画像はこの像の裏側で、このように裏に顔面模様があるものはかなり珍しいそうです。煤を被って真っ黒になっている中、どこかにぶつけて剥げた部分がありますが、造られてから数百年を経て、これだけはっきりと表情が残っているなんて、何代もの人達に崇められてきたのでしょう。
こういった像の存在は、私が昨日観た民衆仏や民衆神の考えに繋がりますね。