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2022年9月7日水曜日

企画展 『Favorites』

今日の品紹介は、古写経の残欠3点です。軸装は、各人の好みがありますので、取り敢えず、額装にしております。
3点共、京都の藝林荘が昭和34年に売り出したもので、同一コレクターの所蔵品でした。
これらの残欠は台紙に貼られており、台紙の裏には、仏教学者であり、浄土真宗本願寺派の僧侶でもいらっしゃった、禿氏祐祥 (とくし ゆうしょう・1879~1960) 氏の解説が書かれていますので、それを、それぞれの画像の下に、緑字で記します。


天平経

天平時代 宝亀三年十一月一日 山脊野中 (やましろ のなか)
  山邊初花 (花初の間違いだと思われる) 校の
  大般若派羅密多経巻第三百九十五の一具経の残欠
  記 山脊野中は天平八年七月に薬師教二十一巻の書生
  中の人物 宝亀四年に至る迄 三十八年間の記録ある
  写経生 一難宝郎の如き筆才ではないが欧風の
  よい所を取入れて横書に直線的の鋭さがある古法
  体である
 此の経は守屋先生の所持せらるる一巻と此の残欠の
 みであります
 田中塊堂氏の古経綜鑑第百五十六頁山脊野中
 書写を対照せられたり

上記の守屋先生とは、守屋孝蔵 (1876~1954) 氏のことで、弁護士であり、古写経をはじめ美術品の著名な蒐集家であった。
その一巻は、京都国立博物館に所蔵され、重要文化財となっている。


高麗経

高麗時代 斐紙 銀泥字
  摩訶般若波羅蜜経の残欠

斐紙 (雁皮紙) とは、沈丁花科の植物である、雁皮から作られる和紙。斐紙・肥紙は古代の名称で、美しさと風格により、紙の王と評される。
この摩訶般若派羅密経 (大品般若経) は、西域の僧であった、鳩摩羅什 (くまらじゅう) の漢訳。


李朝経

李朝 紺紙 金字 法華経


五行の残欠だが、濃い紺紙に付いた古色が美しく、ヴィジュアルとしても素晴らしい。