現物を見てお買物をしていただきたく思いますので、インターネットを通しての販売は致しませんことをご承知おき下さい。

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2023年1月31日火曜日

五鈴鏡

昨年末に奈良の富雄丸山古墳で見つかった、盾形銅鏡と2m超の長さがある蛇行剣が、日本の考古学者の間で話題になっていて、これまでの例にないフォルムと出来栄えに、国宝級の発見だと関係者は喜んでいるそうです。未だに発見されていない遺物が、まだまだ世界中に埋もれているのでしょうね。
先週はそんな話題もあったので、今日は古墳時代の発掘品を紹介致します。



これは五鈴鏡という古墳時代の鏡です。周りにある突起物は鈴になっていて、中には石ころが残り、なかなか良い音がします。この手のものは朝鮮が起源だと主張する研究者も何人かいらっしゃるようですが、韓国で発掘品が見つかっていないそうで、やはり日本オリジナルなのかもしれません。ただ、作られたのは古墳時代に限られるようで、当時、鏡は悪霊を追い払う役目があると信じられていたので、祭祀具として使われたのでしょう。1600年程前のものですから、古色がたっぷりと付き、錆びた鉄のように見えますが、銅造です。直径11cm

 

2023年1月24日火曜日

ヨーロッパのガラス器

今日は、当店としては珍しくヨーロッパもので、ガラス器を3種類紹介致します


まずはフランスの酒器です。
グラスは、オールドバカラで、日本酒に丁度良い小さなサイズですから、リキュール用として作られたのでしょう。在庫は3客なので、組ではなく、1客ずつの販売です。口径4.7cm、高さ6.7cm

ボトルのメーカーは不明ですがフランス製で、やはりリキュール用だったようです。厚めのボディに施されたカットがヨーロッパを感じさせます。高さ18.7cm


これは、塩入れのボトルです。銀製の蓋には、製造社名とシルバー925が印刻されています。社名からするとイギリス製で、19cのものでしょう。ガラス容器のデザインが良く、食卓に置けば引き立つでしょうし、キャップを外して花器として使っても格好良いです。高さ8.8cm

2023年1月23日月曜日

映画 『ミスター・ランズベルギス』 at 第七藝術劇場  監督: セルゲイ・ロズニツァ

今日は、上記タイトルの映画を観てきました。リトアニアがソビエト連邦から独立するにあたり、中心人物となったヴィータウタス・ランズベルギスのドキュメンタリーで、1989年から1991年にかけて起こった独立運動の映像と最近のインタビューで構成されていました。上映時間が248分という長編でしたが、とても良い映画で、感動ものでした。監督は、私が以前このブログで紹介したことのあるセルゲイ・ロズニツァで、以前観た映画同様、非常に上手い手法での制作には感心しました。主人公のランズベルギスは元ピアニストであり、フルクサスの創設者であるジョージ・マチューナスの同郷の親友で、彼自身もフルクサスのメンバーであったとは驚きです。このような映画を観れば、日本の政治指導者をいかに情けなく感じることか、ご興味のある方は、是非ご覧になって下さい。



2023年1月17日火曜日

 李朝初期大型鉢



発掘ものなので、胴の下部がカセていますが、それ以外にダメージがなく、見込は全体に釉薬が残っているので、食卓の器として使用することも可能です。納められていた杉箱には、水盤と書かれているので、花を生けるために使われていたのでしょう。この時代の大鉢は珍しく、大きさの割にお手頃価格です。胴径27.1cm、高さ12.2cm

下の画像のように、水盤として花を生けてみました。やはり、食べ物を入れるよりも花ですかね。


2023年1月10日火曜日

唐代ブロンズ兎像

今日から営業を再開しますので、今年もどうぞよろしくお願い致します。



今年最初の品紹介は、干支に因んで、ブロンズ製兎像です。中国、唐代の発掘もので、副葬品だったのでしょう。多くの獅子像を収集されていたコレクターの旧蔵品で、獅子以外、これ1点だけが兎だったそうです。小さいながらも、差し蓋の桐箱が用意されていて、大切に扱われていたことが窺えます。全長3.8cm、高さ2.7cm
 

2023年1月9日月曜日

Gerhard Richter

年初に、セイシェルに住んですぐに親しくなったドイツ人の友人から、私の誕生日に対して祝いのメールが入りました。私がリヒター展に行く前日に、その返事を出し、そこに翌日リヒター展を観に行くんだと書いたところ、一昨日またメールが入り、彼女は昨年の2月にドレスデンで初めてリヒター展を観たとのことでした。そのメールには、彼女が撮ったリヒターの作品写真がいくつか添付されていて、私が豊田市美術館で観た同じものが含まれていたので、なるほど、リヒターの生地であるドレスデンで大きな回顧展が開かれ、それが東京、豊田市へと巡回してきたのだと流れが分かりました。
リヒターに関しては私に思い出があり、32、33年程前でしょうか、ゲーテ・インスティチュート(ドイツ文化センター)大阪から電話があり、リヒターが来日するので、彼に能や狂言を見せてやれないかという依頼でした。当時、私が親しく付き合っていた現代美術画廊がイタリアとドイツの現代美術を中心に扱っていたことがあって、私もゲーテと交流を持つようになりました。ゲーテには、私の高校・大学時代の同級生に能と狂言の家元の息子がいるのだと話したことがあったため、そのような依頼があったのです。早速、能をやっている同級生に電話を入れ、その話をしたところ、どちらの有名な方か存じ上げないが、その方のために能を舞うことはできないが、毎日稽古をするので、それを観てもらうことは可能だという返事でした。それをゲーテ側に伝え、数週間経ってそこから電話が入ったのですが、リヒターとしては、自分自身が思うように行動したいので、日本サイドのアレンジは必要なく、ゲーテが彼のために予約していた旅館もキャンセルせざるを得なかったとのことでした。その時に私は、政治や経済の土壌で活動している人たちと違い、能楽師である同級生もリヒターも己の道を只管に進む芸術家なのだと感じ入りました。
その件の前であったか後なのか記憶がはっきりしないのですが、ゲーテ・インスティチュート大阪の館長宅に伺う機会がありました。その館長の前任地がザイール(現在のコンゴ)であり、そこに8年間も住んでいたので、アフリカのプリミティヴなマスクやフィギュアを200点程所有していたのです。私は当時、プリミティヴ・アートのコレクターだったので、譲ってもらえないかと言ったところ、売りたくはないが良い能面があれば交換しても良いとの返答で、その後すぐに丹波まで能面を探しに行きました。ただ、その当時は所謂バブル期と呼ばれた時期で、古い能面は売らないが明治のものなら良いと言われたのですが、その時代のものでも100万円の値段が付いていました。同級生の能楽師にも能面に付いて尋ねましたが、良い能面は高額なので、借物で舞っているとのことで、結局、ディールは成立せず、後に私はセイシェルに移住することになりました。
そのゲーテの館長宅はマンションで、200平米の広さがありましたが、現在の大阪でも、その広さのマンションはあるのかないのか、とにかくビックリしました。カートンケースに入った白ワインをそこで飲ませていただきましたが、またそれが美味しいこと、彼は外交官なので、税金なしでどんどん送れるのだと話していました。もう1つ驚いたのは、その当時のゲーテ・インスティチュート大阪のオフィスは、北新地のビルの中にあり、初めてそこを訪れた際、昼間であったにも拘らず、ビールを飲みますかと冷蔵庫を開けてくれると、他の飲食物は全くなし、スペース全てにビールが入っていました。
その館長のアシスタントをしていた日本人が私と同年齢だったので、親しくし、私の写真展や現在の店も時々覗いてくれていたのですが、4年程前に鬼籍に入り、彼とリヒターの話等ができないのが残念です。



2023年1月6日金曜日

Gerhard Richter 展  at 豊田市美術館

今日は、豊田市まで、ゲルハルト・リヒター展を観に行ってきました。豊田市美術館を訪れたのは23年ぶりで、前回は2000年、住んでいたセイシェルから一時帰国した際、私の最も好きな美術家であるアルベルト・ブッリの展覧会を観るためでした。豊田市までは、名古屋駅からでも1時間掛かるため、大阪からは新幹線を使わないととんでもない時間が必要です。交通費がかなり掛かるのでどうしようかと迷ったのですが、2019年にリヒターの財団が設立され、主要な作品はそこで保管して、今回の展覧会ではそれらの作品が展示されるとのことで、行くことにしました。関西でやれば気軽に観れるのにと思うのですが、随分前に、ある美術関係者から聞いた話によると、作品の価格がかなり高い場合、海外から運ぶ保険料が高額になり、多くの美術館はそれがネックで受け入れないところ、豊田市美術館はトヨタ自動車から入る潤沢な税金のおかげで、巨匠の展覧会を開催できるとのことでした。ピカソやシャガール等、一般によく知られている美術家であれば、まだいくつかの美術館が展覧会を開催するのでしょうが、ブッリやリヒターを知っている日本人は少ないでしょうから、動員数を予測すれば、やはり二の足を踏むのでしょう。美術館近くの中学校の生徒さんたちでしょうか、多くが制服姿で鑑賞されていましたが、授業の一環として行われているとすれば、アート好きな生徒さんにとっては、幸せな取組みでしょう。私の父は美術鑑賞や音楽鑑賞が好きな人だったので、小さな頃から美術館やコンサートホールに連れて行ってくれましたが、学校からというのはなかったですね。
さて、今回の展覧会に関する私の感想ですが、ヴィジュアルとしての作品は勿論一級品であるものの、とにかく多種多様な作品を制作し、それらを何故こういった手法で作り上げたのかという作家の考えが理解できていません。展覧会の図録を買ってきたので、何人かの美術関係者が書かれた文章を読むつもりですが、果たしてそれで理解できるかは?です。鑑賞者に分かってもらおうと制作するアーティストもいれば、他人が分からなくとも、作家と作品の間だけで完結させる場合もありますから、これからは私の理解力の問題です。
豊田市美術館は1995年に開館しているので建築後既に28年が経過していますが、展示室は観易く、中庭から見る建造物はモダーンで非常に美しいです。この展覧会は1月29日まで開催されるそうです。



2023年1月4日水曜日

李禹煥 (リウファン) 展  at 兵庫県立美術館

今日は、西日本では初めてという、李禹煥の大規模な回顧展を兵庫県美で観てきました。
確かに、李禹煥の版画はいろんなギャラリー等で時々見かけますが、大きな作品にはお目に掛かることがなかったため、哲学も学ばれた美術家だけあって、なかなか素晴らしい作品群だと思いました。ただ、大規模と謳っているわりには出展数がそれほど多くなく、もっと多くの作品を観たかったと、少々消化不良気味でもありました。
まだ正月休みの方も多いでしょうし、美術館が混んでいるかなと心配して出かけたのですが、空いていたので、ゆったりと鑑賞できました。2月12日まで開催されているので、ご興味のある方はどうぞご覧になって下さい。



2023年1月1日日曜日

2023年 元旦

謹賀新年

本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます