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2014年11月30日日曜日

『戦争大統領』(CIAとブッシュ政権の秘密)  ジェームズ・ライゼン著  毎日新聞社刊

本の紹介を致します。私が海外旅行する際には、機内やホテルで読む本を必ず携行します。今回紹介します本は2006年9月に発行され、同月、レバノンに向かって発つ前に購入しました。ただ、その旅行中に完読できず、帰国後、現地で撮影した写真の処理等で忙しく、続きを読まないままになっていたのを、先日、本の整理中に気付き、再度1ページ目から読み直した次第です。
本の内容は、ジョージ・ブッシュJr.時代、テロとの戦いと称して行った失策についての暴露です。昨年、元CIA(中央情報局)勤務で、CIAやNSA(国家安全保障局)による違法な盗聴を暴露したエドワード・スノーデン氏が脚光を浴びましたが、それ以前に、このような暴露本が存在していたのです、著者であるジェームズ・ライゼン氏はニューヨーク・タイムズ誌の記者で、令状なしの盗聴についての報道でピュリッツァー賞を授与されています。大量破壊兵器が存在しないのを知りながら、サダム・フセイン時代のイラクに侵攻したこと等が詳細に述べられており、現在大きな問題になっているイスラム国が何故生まれたのかが理解できます。イスラエルという国の存続のため、イラク、イラン、シリアの反イスラエル政権を倒そうとする政策が、更に恐ろしい集団を作ってしまったのです。政権の不正を暴露する報道で、ジャーナリストとして栄誉ある賞を受けたライゼン氏に比べ、スノーデン氏は、その不正をメディアに暴露したことで犯罪者扱いされているわけで、不条理を感じますね。
アメリカ政府がスノーデン氏を犯罪者と非難している一方、今年の1月、ノルウェーのボード・ソールエル元環境大臣は、そのスノーデン氏をノーベル平和賞候補として推薦しました。アメリカ政府かノルウェーの元大臣か、どちらに正義が存在するのでしょう。
現在、わが国でも特定秘密保護法なるものが問題視されていますが、要するに、政府の失策や不正義を覆い隠そうという目的がありありと見えています。経済面でも、株の上げ下げではなく、みんながそれぞれの職で努力して、生活向上を目指したいものです。
真実は小説より奇なりといいますが、実際にこの本は、作りものである小説より面白いです。ただ、我々の生かされている世界の裏側を知ると恐ろしくもなりますが、政権が行う不正に疑問を感じ、ジャーナリストに核心を述べた政府内の関係者が多数存在することには、少々安心感を覚えます。現実を知っていただくために、購読をお勧めします。