アハリ・アル・アラビ病院爆撃
現在ガザで起きている戦争では、昨日、病院が爆撃され、500人以上が犠牲になったというニュースがありました。
私は、20年程前からパレスチナ問題に関わってきましたが、今回は、ハマースの攻撃から始まった紛争だけに、インターネットのニュースを見ると、これまでの歴史や経過を全く知らない人たちが一時の感情で文章を書いていることに辟易し、発言を控えてきました。ところが、数日前から一部のジャーナリストや学者の人たちが、何故このような事態になったのかをイスラエル建国に至る歴史や、その後のシオニズム政策についてメディアで発言するようになったので、私も書くことにします。
今回の病院での爆発は、どちらに責任があるのかがまだ判明していませんが、以前のブログでも書いた通り、イスラエルが近隣で戦闘状態になった際、国連施設であろうが病院であろうが、これまでに何度も攻撃し、そんなつもりはなかったなどの弁解を繰り返してきた事実があります。今回、ハマースがミサイル攻撃を始めた3日前には、エジプトの諜報機関がイスラエルに対し、ハマースに戦闘を始める気配があると伝えていたことがメデイアで取り上げられ、アメリカもその動きを察知していたという記事も載っていました。敵からの攻撃を常に警戒している国が、怪しい情報を無視することはないでしょう。シオニズムというのは、ユダヤ人だけの国にする思想であるだけに、ハマースの先制攻撃を理由に、パレスチナ人を追い出し民族浄化を行おうとしていたのではないかとも勘ぐれます。
この戦争がこれからどのように展開するのか全く読めませんが、今日の毎日新聞に、関連する記事が載っていたので、その内容を紹介します:ー
少し前にある会合があり、吉井理記さんという記者が駐日パレスチナ大使であるワリード・アリ・シアム氏と同席し、その会合の場にいた日本人の一人が、パレスチナ人の中に武装闘争も辞さない考えがあることに疑問を投げかけた時、非暴力主義者の大使がしばらく沈黙し、悲しげな表情で答えた内容は、「・・・・・あなたは今日、家からこの会合に来るまで、何ヵ所の検問所を通りましたか? ある日いきなり銃を突きつけられ、自分の家や土地を追い出されたことは? そんな経験はありませんよね。私たちは毎日、そんな生活を送っているのです」ヨルダン川西岸地区などでは、国連決議に反し、パレスチナ人の居住地や農地を分断するようにイスラエル人入植地や「ベルリンの壁」のような隔離壁の建設が進み、イスラエル人専用道路まで造られてきた。パレスチナ人には基本的人権であるはずの「行動の自由」はなく、どこへ行くにもイスラエル軍の検問所に並ばなければならない。封鎖によってゲットーと化したガザは、電力や食料、医薬品が欠乏し、人々が死んでいく。「国際社会は私たちにどうしろというのか。子供たちが死んでいくのをただ眺めていろとでも?」その場にいた人はうつむくしかなかった。シアム氏もパレスチナ難民の2世。先祖はエルサレム近郊のリフタ村で暮らしていたが、イスラエルの侵攻で故郷を追われ、村は消滅したという。
アメリカのバイデン大統領がイスラエルを訪問し、アメリカはイスラエルを全面的に支持すると話したそうです。以前に本の紹介をしましたが、それを読めば何故アメリカの政治家がそこまでイスラエルを支持するかが理解できるでしょう。二人のユダヤ人学者が書いた本です。
『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策』上下2刊 著者: ジョン・J・ミアシャイマー、スティーヴン・M・ウォルト
もう1冊、やはりユダヤ人であるイスラエル人の本です。
『パレスチナを語る』 著者: イラン・パペ