現物を見てお買物をしていただきたく思いますので、インターネットを通しての販売は致しませんことをご承知おき下さい。

Customers are able to talk in English at the shop.

2014年12月28日日曜日

『ジャスミンの残り香』   田原 牧著  集英社刊

本の紹介を致します。シリアやレバノンで世話になった日本人の友人が10日程前に店に寄ってくれた際、彼のことも書かれた書籍が最近出たので、是非読んで欲しいと勧められ、早速購入しました。著者は東京新聞の記者である田原牧氏で、上記タイトルの本は今年の開高健ノンフィクション賞を獲得しています。田原氏はこれまで30年以上に渡りアラブ社会をグローバルな視点から見つめてきた方なので、日本国内でも稀に見るアラブ通、気鋭のジャーナリストです。
『アラブの春』とか『ジャスミン革命』とよばれたアラブの民主化運動がチュニジアから始まり、もう4年が経過しました。この本では、エジプトやシリアでの紛争を中心に、現在日本で起こっている問題を絡めて書かれていますので、我々日本人も考えなければならない事項が含まれています。みなさまにも購読をお勧めします。

Arab as it is (素顔のアラブ) 12

前回に引き続き、2005年に訪れたシリアです。


                             Maalula, SYRIA
ダマスカスから北東に車で1時間程の位置に、住民の大半がキリスト教徒の町、マアルーラがある。この写真には町の一部分しか写っていないが、その小さな範囲内にも、岩の上の聖者像や、いくつものキリスト教会を見ることができる。以前にも述べたが、二世代に渡って国を統治しているアラウィ派のアサド大統領は世俗主義なので、キリスト教をはじめ様々な宗教の存在を認めてきた。ただ、世俗主義であるが故、宗教上の原理主義は認めなかった。現在起こっているシリアの内戦では、イスラム教スンニ派の過激な原理主義者がスンニ派に忠実な教徒以外を弾圧し、多くのキリスト教徒が殺害されたり、施設が破壊されたようだ。この町でもかなりの被害があったと想像でき、そんな過激派には怒りを覚える。


                      Quneitra, SYRIA
これはゴラン高原入口の町、クネイトラにある廃墟の一場面である。第三次及び第四時中東戦争で、クネイトラはイスラエル軍により完全に破壊された。写真の建物は倒壊を免れているものの、内部はミサイルや弾丸でこの有様。クネイトラの破壊直後、当時の国連事務総長はイスラエルを非難したが、シリア政府はその破壊された町全ての惨状を世界に見せるため保存している。ここを訪問するにはシリア政府の許可が必要だが、軍人が説明付きで町を案内してくれる。


                      Damascus, SYRIA
私がクネイトラを訪問し、昼過ぎにダマスカスに戻ると、シリア国民によるデモが市街地で行われていた。この年の2月にレバノンの元首相ラフィーク・ハリーリがベイルートで暗殺されたが、その暗殺にシリア政府が関与したと関係国から非難されたのに対し、アサド政権を支持するシリア国民の抗議デモであった。バックにある建物は、オスマントルコが1917年に建造したヒジャーズ駅という鉄道の駅舎で、現在、鉄道は廃止されたものの、駅舎は文化財として保存されている。


                           Tartus, SYRIA
シリア第二の港町であるタルトゥースは多くのシリア人に人気のあるリゾート地で、のんびりした町である。この海岸で撮影中、釣りをしていたシリア人に声をかけられ話しているうちに、「今晩、うちへ夕食を食べに来ないか。」と誘われ、実際にお邪魔してご馳走をいただいた。そのお宅で、ビールやその他のアルコール飲料を勧められ、イスラム教徒ではないのかと質問すると、はいそうだと・・・。宗派を聞かなかったが、要はイスラム教の中でも世俗的なアラウィ派。その方の奥さんまで飲酒していたので、驚いた。数ヶ月後、ちょうど私のシリア紀行を掲載した英文の雑誌が発行されたので、その家族に送ったところ、その家の息子さんから、今エジプトにいるけど元気かと突然の電話があった。現在の日本と違い、初対面でもすぐ友達になれる、それがアラブの良い面だと思う。最近の報道では、アラブのネガティブな話が多いが。


                           Arwad, SYRIA
タルトゥースの沖10kmに小さな島アルワドがあるが、島内には車がなく、非常にのんびりしていてリラックスできる。ここはシリア唯一の島で、漁業や漁船造りを島民の生業としている。狭い島で撮影していると、子供達から話しかけられたり、家の二階からお菓子を投げてくれたり、とてもフレンドリーな住民であった。


                          Marqab, SYRIA
タルトゥースから海岸線を北に車で1時間程走るとバニアスという町があり、そこから山岳地帯を登ると、頂上にマルカブ城という中世の城がある。写真では、老人夫婦が城に向かって登っているが、城から見える下界の町や地中海が美しい。バニアスからマルカブまでバスに乗ったが、城の数キロメートル手前が停留所だったので、かなりの上り坂を歩いていたところ、途中で小型のピックアップに拾われ、城まで送ってくれたので助かった。と、多くのシリア人はとても親切。バニアスからタルトゥースへの帰路、乗合いの小型バスに乗っていると、何処まで行くのかと男性に声をかけられ、全く知らない人なのに、私のバス代まで払ってくれた。私が貧乏そうに見えたのか、その人が異常に親切だったのかはいまだに?

2014年12月27日土曜日

2014年 営業終了

本日で今年の営業も無事終了することができました。ご来店いただいたみなさま、そして品をご購入いただいたみなさまに感謝申し上げます。どうも有難うございました。来年もどうぞよろしくお願い致します。
それではみなさま、風邪等引かれませんよう、どうか良い新年をお迎え下さい。



2014年12月25日木曜日

チュニジアのジュラバ


ジュラバとは、北アフリカでよく見掛けるフード付きコートのことです。モロッコやチュニジアの南部に多いので、これはマグレブに住むベルベルの民族衣装なのでしょう。写真のものは、90年程前にラクダの毛で織られたものです。何故はっきり90年といえるのかですが、実は、私の友人のお爺さんが若い頃から着用されていたものだそうです。羊と比べラクダの数は圧倒的に少ないですから、現在では羊毛製のものがほとんどで、ラクダの毛のものはやはり高価だとか。何か、ネズミ男を想像しますね。

2014年12月18日木曜日

漆豆皿


5客組の漆豆皿です。それぞれの皿に描かれた絵がモダーンですが、明治期頃の作でしょう。譲ってもらった業者さんによると、朽木のものではないかとのことでしたが、断定はできません。あまり頻繁には使われなかったようで、使用感はありますが、絵がしっかりと残り、欠けもなく、かなり良い状態です。お正月に使うにはもってこいの可愛い絵柄ではないでしょうか。

2014年12月11日木曜日

瀬戸焼酒器


寒くなれば、やはり日本酒でしょうか。今日は瀬戸で焼かれた酒器の紹介です。
糸目盆に乗せた徳利は、時々見掛ける廉価なものですが、御深井のように細かく入った貫入と、頻繁に使用された結果生まれた、口の部分のシミに魅かれ入手しました。底を見れば、なかなか味のつかない瀬戸の土が焦げ茶色になっていますから、江戸後期に作られたものでしょう。口縁に小ホツの銀直しがあります。
盃も、ポピュラーな麦藁手ですが、手にすっぽりと収まるフォルムです。麦藁手の時代判定は難しいのですが、まあ幕末〜明治頃の作でしょう。こちらは無疵完好です。

2014年12月4日木曜日

鉄のモノ

錆の安定した鉄味って、いいですね。その鉄味とかデザインとかで気に入るものを見つければ入手するようにしているのですが、今日はそんな2点を紹介致します。どちらも日本のものです。


斧の先です。ミニマルデザイン、鉄味、共にgoodです。


言わずと知れた鍵でございます。私の好みの古い家具に、横桟や縦桟のものがありますが、この鍵は縦桟デザインです。鍵のデザインとしては初見のものです。

2014年12月2日火曜日

菅原文太さんの死

高倉健さんに続き、菅原文太さんもお亡くなりになりました。原発反対、戦争反対、そのような菅原文太さんの思想や行動が、この世に残された我々の遺産となり、実現するようにと祈ります。合掌

2014年11月30日日曜日

『戦争大統領』(CIAとブッシュ政権の秘密)  ジェームズ・ライゼン著  毎日新聞社刊

本の紹介を致します。私が海外旅行する際には、機内やホテルで読む本を必ず携行します。今回紹介します本は2006年9月に発行され、同月、レバノンに向かって発つ前に購入しました。ただ、その旅行中に完読できず、帰国後、現地で撮影した写真の処理等で忙しく、続きを読まないままになっていたのを、先日、本の整理中に気付き、再度1ページ目から読み直した次第です。
本の内容は、ジョージ・ブッシュJr.時代、テロとの戦いと称して行った失策についての暴露です。昨年、元CIA(中央情報局)勤務で、CIAやNSA(国家安全保障局)による違法な盗聴を暴露したエドワード・スノーデン氏が脚光を浴びましたが、それ以前に、このような暴露本が存在していたのです、著者であるジェームズ・ライゼン氏はニューヨーク・タイムズ誌の記者で、令状なしの盗聴についての報道でピュリッツァー賞を授与されています。大量破壊兵器が存在しないのを知りながら、サダム・フセイン時代のイラクに侵攻したこと等が詳細に述べられており、現在大きな問題になっているイスラム国が何故生まれたのかが理解できます。イスラエルという国の存続のため、イラク、イラン、シリアの反イスラエル政権を倒そうとする政策が、更に恐ろしい集団を作ってしまったのです。政権の不正を暴露する報道で、ジャーナリストとして栄誉ある賞を受けたライゼン氏に比べ、スノーデン氏は、その不正をメディアに暴露したことで犯罪者扱いされているわけで、不条理を感じますね。
アメリカ政府がスノーデン氏を犯罪者と非難している一方、今年の1月、ノルウェーのボード・ソールエル元環境大臣は、そのスノーデン氏をノーベル平和賞候補として推薦しました。アメリカ政府かノルウェーの元大臣か、どちらに正義が存在するのでしょう。
現在、わが国でも特定秘密保護法なるものが問題視されていますが、要するに、政府の失策や不正義を覆い隠そうという目的がありありと見えています。経済面でも、株の上げ下げではなく、みんながそれぞれの職で努力して、生活向上を目指したいものです。
真実は小説より奇なりといいますが、実際にこの本は、作りものである小説より面白いです。ただ、我々の生かされている世界の裏側を知ると恐ろしくもなりますが、政権が行う不正に疑問を感じ、ジャーナリストに核心を述べた政府内の関係者が多数存在することには、少々安心感を覚えます。現実を知っていただくために、購読をお勧めします。

Arab as it is (素顔のアラブ) 11

今回は2005年に訪れたシリアの首都、ダマスカスです。以前のブログで書きましたが、私はこれまで訪れた国々の中でシリアが最も好きでした。人は親切だし、物価は安いし、将来はそこに住みたいと思った時期もありました。平和だった頃のシリアを思い出すと、今の状況は嘘のようです。


                                                                                 Damascus, SYRIA
市街地の所々に、簡易な小屋のショップが存在する。ここは下着屋さん、アラブの国々では何故か、女性用下着を売っている店主にも男性が多い。


                                                                                 Damascus, SYRIA
やはり町の中心地で、おもちゃを売っている若者達。電動のおもちゃを動かし、まるで大道芸人のよう。


                                                                                  Damascus, SYRIA
書店の店頭に置かれた本のラック。その年のバレンタインデー、レバノンの首都ベイルートで、元首相のラフィーク・ハリーリが車爆弾により暗殺された。シリアがその暗殺に関わったと疑われ、バッシャール・アサド大統領とアメリカの関係が以前より更に険悪になった。ラックの中にあるニューズウィークの表紙には、ネオコンのボスともいえる当時のアメリカ副大統領、ディック・チェイニーが載り、その隣ではバッシャール・アサド大統領が睨みを利かしている。


                                                                                 Damascus, SYRIA
ダマスカスの中心部を走るバイパス。首都だけに、車の量も多い。バイパスの左向こうに見える高層ビルの屋上には、バッシャールの父であるハーフェズ・アサド前大統領の大きな顔が掲げられている。


                                                                                 Damascus, SYRIA
バイパスの脇には多くのショップが並ぶ。ここは果物屋。私はフルーツが好きで、何処にいても朝食時には必ず食べる。シリアでもよくマスカットを買ったが、大変値が安く、1kgが100円強だったと思う。


                                                                                 Damascus, SYRIA
シリアで一番大きなウマイヤド・モスクの前には広場があり、池があるわけでもないのに、何故か噴水が出る。その広場では、主にクルド人が物を売ったり、大道芸を披露している。

2014年11月27日木曜日

李朝後期瑠璃釉徳利

もう、今月は朝鮮陶磁器の紹介月間といきましょう。たまには少々値の高い優品も紹介致します。李朝後期の分院で作られた瑠璃釉徳利ですが、フォルムの良さはご覧の通りです。下蕪型とよばれる形ですが、この曲線が僅かに変化してもボテッとした姿になったり、バランスを崩してしまいます。また、無作為に塗られたコバルトの斑に、この徳利を作った陶工のセンスの良さを感じます。それと、高さ14cm、容量200cc強ですから、酒器好きの方にはもってこいのサイズでしょう。それらの要素を満たす瑠璃釉徳利は、日本中探しても稀ではないでしょうか。浅い釘彫りが施されていますが、花びらか何か、抽象的なイメージがします。焼き上がりの状態も良好で、磁貫もなく無疵完好です。



2014年11月20日木曜日

李朝マッコリ盃

3週続き、今週も朝鮮モノでいきます。今日は、李朝中期頃のどぶろく用盃を2点紹介致します。私が韓国料理をいただく際、お酒はまずマッコリから始めます。このような盃でマッコリをいただくと、お酒も食もより進むのではないでしょうか。


まずは、直径9cmの白磁盃です。自然釉の灰青色が美しく、見込みには土から滲み出た鉄分が大きな模様を作っています。ごく小さなニューが2本有りますが、使用には全く問題のないレベルです。これを手に入れた後、私自身も早速使用しました。


こちらは、直径10cmの堅手染付盃です。良く使い込まれていて、肌には染みがたっぷりと入り、所々に御本も見られます。細かい磁貫がありますが、疵はありません。

2014年11月13日木曜日

赤色円底壺


先週に引き続き、今週も朝鮮モノの紹介です。小学館発行の世界陶磁全集によりますと、「韓国では、青銅器時代の土器である無文土器の表面に赤色顔料を塗布して磨研したものを、紅陶と呼びならわしている。この小型円底壺は、墳墓に対する副葬用として特別に製作されたことの明らかな土器で、その分布は、漢江以南の南韓地域に限られており、支石墓、石棺墓などの墳墓から発見されている。」とあります。以前にもブログで紅陶の紹介をしたことがありますが、今回のものは私が入手した3点目の、朝鮮青銅器時代、紅陶になります。この手の壺は韓国の博物館や研究施設に保管されており、日本の市場にはあまり数がないはずですが、ラッキーなことにまた手に入りました。ただ、これまでの2点と違って、黒い彩文が胴の3方向に施されています。副葬品ですから、呪文なのかもしれません。

2014年11月9日日曜日

NHK ETV特集 『ガザからの報告』

昨日の夜、たまたま回したテレビ・チャンネルで、先日のイスラエルによるガザ攻撃を中心とした、パレスチナ・イスラエル紛争に付いての番組を観ました。長年、パレスチナ問題を追いかけていらっしゃるジャーナリストの土井敏邦氏や、その問題にお詳しい学者の臼杵陽氏等が出演され、かなり公平な内容でした。日本政府が、イスラエルや、その国の絶対なる支持国であるアメリカ寄りの政策を取っていることもあり、日本のメディアも政府の御用学者を出演させることが多く、公正な番組が少ないのが現実です。紛争の問題点を語るにはあまりにも短い放送時間でしたが、昨夜のNHK番組はかなり評価できるものでした。再放送が11月15日の午前0時(14日の深夜)からありますので、是非ご覧になって下さい。

2014年11月6日木曜日

李朝初期白磁

今日は、白磁を2点紹介致します。


ごく小さなホツが1カ所ありましたが、修理済みです。細かい貫入が入った、古色感たっぷりの堅手中皿です。


半陶半磁、竹節高台の鉢です。見込は平らに成形されていますが、胴は、この写真の通り、ろくろ成形した際の筋が残されています。こちらは無疵完好です。

2014年10月31日金曜日

Arab as it is (素顔のアラブ) 10

今回は2005年のヨルダンです。


                           Amman, JORDAN
ヨルダンの首都であるアンマンの中心部にキングフセイン・モスクがあるが、この写真は、そのモスク前で古着の露天商が店を開き、客がコートを試着している場面。客は、「こりゃ、丈が短いなあ。」とでも言って、笑っているのか。


                           Amman, JORDAN
アンマンで一番大きなバス・ステーションがアブダリという場所にあり、そこからヨルダン国内のほとんどの場所にバスが運行していた。交通の便が良かったため、私はこのステーションの真ん前にあるホテルを定宿にしていて、この写真はその部屋から撮った。ただ、この時から数年後、そのバス・ステーションは他の場所に移ったらしい。


                             Salt, JORDAN
サルトはアンマンの北西、車で40分程の所に位置しているが、ここはヨルダンの中でも最も歴史のある町のひとつで、パレスチナのナブルスから移り住んだパレスチナ人が多く住む。ヨルダンでは、ヨルダン人の人口比は小さく、全人口の60%以上がパレスチナ人であるといわれている。この写真は、現地の老人達がバックギャモンをして寛いでいる場面。


                            Salt, JORDAN
サルトは、首都アンマンに比べてのんびりとした感がある。卵屋さんでは主人と客がおしゃべり、隣の小麦屋さんの老いた主人は居眠り中。


                           Salt, JORDAN
サルトの商店街でのワン・ショット。それぞれのマネキンの表情は違う。やはりパレスチナ人が多いので、看板にはエルサレムにある黄金のドームが描かれている。


                              Salt, JORDAN
小さなキリスト教会の屋上で、中年カップルが談笑を。パレスチナと同様、ここでもムスリムとクリスチャンが仲良く同居する。

2014年10月30日木曜日

クメール小壺

週に一度のブログ更新で、売却済の品だけを載せては、当店のブログをご覧になっている方に申し訳ないので、違うものをもう1点紹介致します。


クメール王朝時代の小壺です。発掘ものですが、口縁にいくらかのホツレがある程度で、本体にはダメージがありません。肩には丸印が陰刻され、すっきりとしたデザインです。かなり前に、何処かでこの文様と同じ壺を見た記憶がぼんやりとあるものの、何時、何処でかが思い出せません。渋い佇まいが秋を感じさせます。

タイ金銅仏


今日のブログでこれを紹介しようと準備していたのですが、掲載前に、お客さまに購入していただきました。ブログに掲載する予定があったことをそのお客さまに話したところ、どうぞ載せて下さいとの了承を得ましたので、そのようにさせていただきます。東南アジアの金銅仏ですが、恐らく、タイの民間仏でしょう。かなり古そうで、写真でご覧の通り、銅が部分的に薄くなり破れています。高さは16cm程ですが、とにかくにこやかな良いお顔をされています。とても可愛い仏さまでした。

2014年10月23日木曜日

李朝木鉢


つい先日、木で作られたものたちの企画展が終わったところですが、味の良い木鉢を見つけたので入手しました。このようなデザインは初見ですが、菓子器として使われたのかもしれません。作られてからかなりの年月を経過しているようで、重量は軽く、まるで手の甲の血管のように木の年輪が浮き出ています。

2014年10月16日木曜日

信楽匣鉢


信楽の匣鉢です。この写真では百合の切花を生けていますが、直径20cmと鉢が大振りなので、プランターとしても使えます。それほど古い作ではないので、値はお安いです。

2014年10月9日木曜日

呼継盃

私は、呼継ぎの陶磁器はほとんど買わないのですが、今日は所有しております2点の盃を紹介致します。どちらも九州のもので、センス良く繋ぎ合わされています。


江戸中期、現在の長崎県の地に開窯したものの、60年も持たずに窯を閉じた現川焼の立盃です。発掘ものですので少々カセていますが、本体も呼継のかけらも現川のものです。漆の繋ぎが上手いとはいえませんが、まるで現代美術の抽象作品のような洒落た雰囲気があります。


桃山〜江戸初期の唐津平盃です。まあ、元々は小皿ですね。金継ぎされた部分が呼継のかけらですが、色目もカーブも本体にピッタリと合っています。金継ぎされた反対側は黒漆で修理されていて、金と黒のバランスが良いです。

2014年10月5日日曜日

企画展 『木のものたち』

本日で、第四回企画展を無事終了させていただきました。何人もの方が、遠くから足を運んで下さいました。この企画展にお越しいただいたみなさま、そして品をご購入していただいたみなさま、誠に有難うございました。明後日からは通常営業に戻ります。今後とも、どうぞよろしくお願い致します。



2014年10月2日木曜日

企画展 『木のものたち』

今回の企画展も、終了まで後4日間となりました。ご興味のある方、どうぞこの期間にお出で下さい。今日は、アジアのフィギュアを紹介致します。


この2点は、インドのオリッサ州に住む山岳民族の人形です。どの部族かは特定できませんが、一部の山岳民族が住む地域には、外国人の立ち入りを禁止している所もあるそうです。また、それらの民族は多くのインド人とは違う文化や宗教を持っているとのことですから、これらのフィギュアは宗教的なものなのかもしれません。インド人コレクターから出た品です。


李朝後期の木雁です。木雁は、夫婦の契りを象徴するもので、婚礼の際、花婿から花嫁の母親に送られるそうです。これまでいくつかの木雁を見てきましたが、人間の顔のように、それぞれに違った個性があります。ほとんどの木雁は木だけでできていますが、今回紹介しますものは、頭部が韓紙で包まれていて、首に古布が巻かれています。なかなか可愛い表情をしています。

2014年9月29日月曜日

Arab as it is (素顔のアラブ) 9

今回は2004年のチュニジアです。


                              Djerba, TUNISIA
ジェルバ島には紀元前8世紀頃、フェニキア人によって都市が造られた。現在は、ヨーロッパ人に人気のあるリゾート地で、国際空港もある。また、紀元前よりユダヤ人が居住していて、古いシナゴーグも存在する。この写真は、早朝の港に小さな漁船が多く停泊していて、これから漁師が出漁しようとしているところ。曇っていたので、水平線がぼやけて、漁船が空中に浮いているように見える。


                             Le Kef, TUNISIA
ここルケフの歴史も古く、フェニキア人がカルタージュに都を置いていた紀元前5世紀頃にはシッカと呼ばれていた。また、19世紀末、フランスがチュニジアに攻め入った際、最初に占領された都市でもある。フェニキアが三度に渡るポエニ戦争でローマ帝国に敗れてからは、ローマの城塞や教会が建てられたため、現在もローマ遺跡が多く残っている。また、ユダヤ教の古いシナゴーグも残り、アメリカでユダヤ教のイベントがある際、古いトーラーを貸し出している。この写真は、町の一角で靴の修理屋が路上で仕事を営み、婦人の靴を修理している場面。私の幼かった頃、大阪のターミナル周辺でも、靴の修理屋さんが路上に店を出していたのを思い出す。


                          Tozeur, TUNISIA
以前にもトゥズールの写真を掲載した記憶があるが、ここはチュニジア南部観光の玄関口で、14世紀頃にできた旧市街は、現在も建造物が日干しレンガで造られている。この写真は、その旧市街の外れにあった床屋さん。アラブの多くの国では、このようなレトロな床屋を時々見かける。


                         Tozeur, TUNISIA
トゥズール旧市街の一場面。私はこの地に友人がいるので度々訪れたが、初めて行った時は、そんなに広くもない旧市街は迷路のようであった。写真では、老婆の後ろ姿が写っているが、黒い着衣の中に見えるブルーのラインや足下は、現地のファッションだそうだ。元々は黒一色だったのが、それぞれの女性の好みでちょっとしたお洒落を楽しんでいるらしい。


                         Tabarka, TUNISIA
チュニジアの北部、地中海に面し、アルジェリアとの国境まで僅かな所にタバルカという町がある。写真で見えている突起物は針岩と呼ばれるもので、長年の海の波による浸食ででき上がったそうだ。タバルカでは、毎年ジャズ・フェスティバルが開催されていて、世界の有名ミュージシャンも多く参加している。


                          Tunis, TUNISIA
これは首都チュニスの市街地の写真。フランスに統治されていた時代があったので、チュニスの中心部は、アラビア語を除けば、建物も含めてパリの香りがする。

2014年9月27日土曜日

企画展 『木のものたち』

今週、漆芸家の杉田明彦さんが香川でのイベントを終えられた後、当店に立ち寄って下さいました。そして、また作品を1点購入しましたので、今日はそれを紹介致します。これは新作だそうで、口径19cm弱の中鉢です。大きさがややあり、口が大きく開いた形状なので、使い勝手が良さそうです。前回いただいた作品を含め、3点を店内に並べておりますので、どうぞご覧下さい。これらの作品には布着せされた形跡がなかったので、木地に直接漆が掛けられているのだと思っていたのですが、実際は、布着せした上に珪藻土で布目や段差を埋め、その上から漆を塗られているそうです。輪島塗の基本を守り、手の込んだ作業をされています。
フランス料理の世界的有名シェフである、アラン・デュカス氏が経営するパリのレストランでも、杉田さんの器が150客使われているそうです。



2014年9月22日月曜日

企画展 『木のものたち』

いよいよ明日から第四回企画展を始めます。昨日、この企画展のために商品の入れ換えをしたところ、店内だけで木のものが120点程ありました。ご興味のある方、どうぞご来店下さい。お待ちしております。
さて、今日は琉球の盆を紹介致します。盆というよりも膳が正しいかもしれません。購入した際、17~18世紀の作と表示されていましたが、まあ悪くとも18世紀末はあると思います。古いものですから、それなりの剥げや漆の補修がありますが、絵がとても魅力的で、盆や膳として使うも良し、飾っても絵になります。琉球の盆は少々派手で、私は苦手なものが多いのですが、今回出展しますものは、それぞれの盆に植物が1点ずつ描かれていますので、黒をバックにすっきりとした趣があります。
ブログでは、価格の上で中間的な品を中心に紹介しておりますが、これらの他に、ずっと値の安いものもございますし、ずっと値の高いものもございます。


                          5客組の箱入りです

それぞれの写真もお見せしましょう。