現物を見てお買物をしていただきたく思いますので、インターネットを通しての販売は致しませんことをご承知おき下さい。

Customers are able to talk in English at the shop.

2013年12月28日土曜日

2013年、営業最終日

今日で、今年最後の営業を終えました。当店にご来店いただいたみなさま、また品をご購入していただいたみなさま、どうも有難うございました。時が経つのは早いもので、ついこの前に正月を迎えたという気がしますが、後数日でまた新年です。この冬は特に寒く感じますが、どうぞみなさま、風邪にお気をつけ、良い年をお迎え下さい。


2013年12月24日火曜日

多々良 雲助


このやきものは、多々良と書いて「たたろう」と読みます。武雄系唐津の流れを汲む民窯で、桃山時代末期に開窯したそうです。よく見掛ける他の窯の雲助よりも背が低く、腰の据わった野武士を連想させます。

2013年12月19日木曜日

宮古島

現在、当店のショーウインドウには先週のブログで紹介した宮古式土器を飾っているのですが、昨日、たまたま宮古島出身の若者が店に来てくれました。沖縄周辺の離島と沖縄本土では文化が違うことや、宮古島のシャーマニズム等、大変興味深い話を聞くことができました。私は25年以上前からアニミズムに興味がありますので、現在の我が国でもまだ原始の宗教観を持って暮らしていらっしゃる方々が存在することに驚きを持ったのと同時に、一度現地を訪れてみたいとも思いました。最近のブログで、私にはムスリムの友人が多くいることを書きましたが、イスラームではアニミズムを忌み嫌っているのです。それは、ムハンマドがイスラームを興した時代のアラビア半島では多神教を信じていて、イスラーム布教に手こずり、多くの血が流れたことに主な原因があるといわれています。それ故に、よほど親しい友人でなければ、ムスリムとの間でアニミズムの話はしないのです。



燭台

さて、今日はシンプルなデザインの燭台を2点紹介致します。


まずは日本の江戸時代のもので、支柱と受け皿が八角形、土台が十字というミニマルなデザインです。


私が海外に住んでいた頃、イタリア人の友人が同じような燭台を持っていましたので、これはヨーロッパのものだと思います。銅製で使用感があまりないのですが、ベースの裏を見ると、そこそこの時代はありそうです。クリスマスイブが間近ですが、その時の小道具にぴったりではないでしょうか。

2013年12月12日木曜日

宮古式土器


15c〜16c頃に作られたと思われる宮古島の土器です。八重山のパナリ土器は展覧会が開かれたこともあり、最近は巷でも知られるようになって人気があるようですが、宮古島のものはパナリよりもずっと数が少ないそうです。宮古式には第一期と第二期とよばれるものがあり、第二期のものには肩に波状文が刻まれ、ろくろ成形なのに対し、今回紹介します第一期のものは、手びねり成形で波状文がありません。野焼きで作られたこの土器、壺の内側には土を手で伸ばした痕跡が残り、プリミティヴ然としています。やはり、沖縄の土と同じ色をしていますね。

2013年12月6日金曜日

ネルソン・マンデラ

南アフリカのアパルトヘイト政策に対抗し、黒人の自由を勝ち取ったネルソン・マンデラ氏が昨日お亡くなりになられたそうです。27年間も刑務所に入れられ、白人に酷い目にあった後にも拘らず、その白人達を許し、人種間の和解を成し遂げた功績はとても偉大でした。心よりご冥福をお祈り致します。
インドの父と呼ばれているマハトマ・ガンディー氏も、若い頃は弁護士として南アフリカで活動されたそうですが、やはりその地の人種差別と戦い、後にインドの独立を非暴力で勝ち取りました。
現代のアパルトヘイト国家といわれているイスラエルも、そろそろ他民族の存在も受け入れて、中東の平和を確立して欲しいものです。

2013年12月5日木曜日

トアレグ・アクセサリー


サハラの遊牧民であるトアレグ族の、代表的なアンティーク・シルバーアクセサリーです。20年以上前にイギリス人のコレクターから譲っていただいたのですが、レアなものなので手放さないとおっしゃったものの、何度も通ってどうしても欲しいと交渉したところ、お買いになられた倍の金額ならということで、手に入れました。その方は、その時より数十年も前に、ニジェールで見つけられたそうです。この手のものは既に西洋のコレクターに収まっていますから、そこから放出されない限り、まず現地でも、市場でも見掛けることはほぼ不可能だと思います。下のとんがった部分は男性器を、上部は女性器を表しているそうです。

2013年12月4日水曜日

国家と情報 警視庁公安部「イスラム捜査」流出資料を読む   現代書館

刊行は2年程前になるのですが、本の紹介をします。上記したものが、そのタイトルと出版社です。
2010年10月28日、何者かが警視庁外事3課保有の「公安テロ」情報ファイルをインターネット上に流出させました。ファイル数114、字数にして約70万字、個人肖像写真は被害者関係で21人分に及ぶ膨大な情報で、内容は、日本居住及び訪問したイスラム教徒全体を、テロリスト予備軍として監視の対象におき、秘密裏に捜査を行っていたというものです。また、そこには米連邦捜査局(FBI)や他の海外情報機関からの捜査要請資料も混在していました。そのファイルが流出した同時期に、尖閣諸島沖での中国漁船衝突ビデオの流出事件が起きたため、世間の関心がそちらに傾いたようで、こちらに関してはほとんど理解されていないのではないでしょうか。
この本は、ファイルにもられた情報とその漏洩が何を意味するのか、複数の著者(弁護士・ジャーナリスト等)によって解明し、明らかにする意図で刊行されたとあります。特に、東京新聞の記者である田原牧氏(私感ですが、日本のジャーナリストの中で、最も中東問題を理解できている方だと思います)による文章では、我が国とイスラム諸国の関係やその歴史を明確に書かれていて、読み応えがあります。

この「公安テロ」情報ファイル流出による海外での問題点は、海外の捜査機関及び情報機関による日本政府や警察への信用が失墜したことと、長年培ってきたアラブやイスラム諸国との友好的関係にヒビが入ったことでしょう。このようなことも、現在大きな問題になっている、「特定秘密保護法案」成立に政府が躍起になっている理由の一つではないでしょうか。国際法を破ってまでユダヤ人だけの国家を作ろうとしているイスラエルに、世界の多くの国から非難が浴びせられていますが、このところ日本ではイスラエル企業の進出が目立っているようです。福島第一原発の事故後には、イスラエルのセキュリティ会社が日本国内の原発に関わっていることが発覚しました。秘密保護法が成立すれば、そのような事実を探ることや、それを暴露することは、確実に罪に問われることになるでしょう。日本も、イスラエルと同じように、世界から孤立する方向に進まなければ良いのですが・・・。

随分前に、国立民族学博物館の初代館長だった故梅棹忠夫氏が、特定の宗教を持たない主義だが、どうしても一つ選べといわれれば、私はイスラム教を選ぶだろうと述べられたことを思い出します。私も同感です。これまで多くの宗教に関する本を読み、他人に害を及ぼさない宗教であれば、その全てをリスペクトしますが、特定の宗教を持つつもりはありません。でも、これまで知った宗教の中で、イスラームの教えが最も真面目であると認識しています。私は、9.11の直後から10年間、アラブでドキュメンタリーの写真を撮っていましたので、イスラム教徒の友人が多くいます。神の下で正しく生かされようとする彼等の真摯な態度、そして友に対する優しさを十分に感じているのです。

2013年11月28日木曜日

酒器


街に吹く風がだんだんと冷たくなり、我家でいただく焼酎の水割りを、そろそろ日本酒に切り替えようかと思わせる時期になりました。今回紹介します酒器はどちらも江戸後期のものですが、徳利は平佐の白磁、盃は伊万里の白磁染付白抜きです。盃として取り上げましたものは、口縁内部に釉が掛かっていないので、元々は蓋物の向付だったと思われます。絵柄が鷺に草花文で、にじみのないすっきりとした上手のものです。

2013年11月21日木曜日

古染付


直径21cm強、明末清初の厚手大鉢です。卍が入っている上、重ね焼きをしているので、大きな寺の注文品だったのかもしれません。勿論、伝世品ですが、作られて数百年経過しているのに、無傷完好で、よほど大切に使われてきたのでしょう。見込みにも胴にも、吉祥の卍とコウモリが描かれています。菓子鉢としても、果物を盛っても、楽しく使えそうです。

2013年11月15日金曜日

閻魔大王

室町時代の閻魔大王像です。子供の頃、嘘をつけば閻魔さんに舌を抜かれるとよくいわれたものです。「安倍はん、嘘ばっかりついてたら、舌抜きまっせ。己の嘘を隠し、自身の思い通りに国を支配するため、身勝手な法律を作ろうなんて、独裁者そのものですなあ。あんたみたいなのは、死んだら地獄行きに決まってますがな。」と、閻魔さんがおっしゃっているようです。



福島菊次郎

昨日から今日に掛けて、毎日新聞朝刊の「生きる物語」という欄に、1921年生まれの報道写真家であった福島菊次郎氏の生き様について書かれていました。その中で福島氏が的確に述べられた二つの言葉は次の通りです。
「都合の悪いことはみんなで知らんぷりをして、モノと金まみれで生きる時代になった。」
「日本の戦後は、ごまかしと取り繕いの積み重ねだった。体制を変えても、中身は変わらなかった。突き詰めれば、国民一人一人が過去と向き合おうとしなかったことに本質がある。」
昨年の衆議院議員選挙前に、滋賀県の嘉田知事が、国民のたった一票が怖いのよねとおっしゃったことを思い出します。

2013年11月14日木曜日

イコン


先日の企画展中には、ロシアの教会で使われていたイコンを展示しましたが、この写真のものは一般市民が所有していたのでしょう。前所有者はイギリスでお買いになったそうですが、裏にプレートが貼られていて、17cと記されています。実際にそこまで古いのかどうかは分かりませんが、虫食いの板にはコルクでの古い修理があり、確かに古さはあります。その上、ご覧の通り、色彩が美しいです。

2013年11月7日木曜日

古信楽


南北朝〜室町期頃に作られた信楽の中壺です。窯の中で薪の灰に埋まったのでしょう、黒褐色で、いい味に錆びた鉄のような表情です。重厚感のある私好みの壺ですが、水漏れもなく、地味な枝もの、派手な花、どんなものを生けても似合いそうです。肩には窯印が刻まれています。

2013年10月31日木曜日

西洋もの

荒れまくった台風の時期が過ぎ、ようやくおしゃれもできる良い季節となりました。当店の裏にある靱公園や、近所の会社の植込みでは、キンモクセイが満開となり良い香りを漂わせています。
私は西洋ものをほとんど扱いませんが、興味を持てばどの産地のものでも買います。今日は、その西洋の品を2点紹介致します。

まずはヨーロッパ産だと思えるパフューム・ボトルです。シンプルなデザインに魅かれて購入しました。香水の香りが残っていますから、間違いなく香水瓶。外側の緩い曲線が素敵で、アールデコの時代のものだと思います。日本でいうと大正から昭和初期ぐらいですか、ブラックライトを当てるとウランが光ります。勿論、香水を入れてもいいですが、口にスクリューを切っていないので、かわいい花の一輪挿しにもいいんじゃないでしょうか。


これはイギリスの陶製ボトルです。高さが42cmもあり、陶器でできたキャップはスクリューになっています。へこんだ輪線部や取手にはわずかに釉薬が残っていますが、ほとんどの部分は釉が剥げ落ち、そこに付いたシミが景色になっています。市場でよく見る、釉薬でテカテカなものだと、私は購入しなかったでしょう。このような状態から19c頃のものだと推測しますが、こんな大きさで目立った傷もなく、よく無事に残っていたものだと思います。

2013年10月24日木曜日

根来盆

これまでのブログで、器は掲載しても盆の紹介がなかったと気付き、今回は根来盆を数点取り上げます。


桃山〜江戸初期の隅切盆です。この手の盆は、ほとんどが木の収縮により、底の部分と枠に隙間を生じ、これもご多分に漏れず漆による修理が成されています。


これは江戸初期の、四隅に脚の付いた角盆です。こちらは底と枠のつなぎがしっかりしていたようで、底部の中央にわずかな隙間を生じています。隅切盆と同様に、縁にはしっかりと布張りが成されています。


低い高台付きの盆で、直径が36cmもあるので、酒器の他、酒の肴を乗せる皿も余裕で置くことができます。いつ頃のものかは定かではありませんが、古色感から推測すると、まあ100年前後の古さはあるでしょう。上記の2点と比べると、一桁ほど違う価格です。同手の盆がもう1点ありますが、そちらはひびが入っているので、これのまた半額です。ひび入りでも安定していますので、使用には何ら問題はございません。

これらの他、根来盆、ふき漆盆、くりぬき盆等、あと10点以上の在庫がございますので、どうぞ現物をご覧になって下さい。価格も、安いものから用意しております。

2013年10月17日木曜日

ハッダ・ストゥッコ 2nd


以前にもハッダ・ストゥッコを1点紹介しましたが、それとは顔つきが全く違うものを手に入れました。鼻と頭頂部を欠損していますが、とんがった大きな耳が『宇宙大作戦』のスポックを連想させ、そのユニークな顔つきに何となく魅かれました。わずかにですが、赤い彩色が所々に残っています。支柱が回るようになっていますので、色んな方向の眺めを楽しめます。

2013年10月10日木曜日

李朝白磁青花鉄絵瓶

先週まで、長らく朝鮮ものを紹介しておりませんでしたので、今回も朝鮮陶磁でいきます。


高さ27.5cmで、シミたっぷりの大柄な瓶です。李朝ファンの方はご存知だと思いますが、染付でコバルトと鉄砂を併用しているものは数多くありません。この鉄絵は、前回の新羅土器と同じように蓮の花でしょうか。作為を感じない、上手い絵です。


裏面も、コバルトと鉄砂併用で描かれていますが、反対側とはまた違う、静かな趣のある絵柄です。

2013年10月6日日曜日

北魏 石造仏教彫刻の展開

上記タイトルの展覧会が、大阪市立美術館で開催されています。お客さんや同業者から招待券をいただいていながら、先日の企画展の準備や後片付けでなかなか行けなく、今日ようやく観て参りました。関西在住であった実業家の山口謙四郎氏のコレクションを核として、圧巻の展示でした。日本の仏教美術とはまた別の、素晴らしい中国、北魏の仏教・道教石造彫刻を是非ご覧になって下さい。10月20日(日)までの開催です。今日は日曜日ながら、館内は空いておりました。多くの日本人はいったい何に興味を持っているのでしょう。

2013年10月3日木曜日

新聞記事

昨日の毎日新聞夕刊の同じ面に、全く分野の違うお二人のインタビューと寄稿が載っていました。そのお二人の発言を要約して紹介させていただきます。

佐藤真由美 (在日コリアン系インターナショナルスクールとフィジーの子供の相互訪問等を企画)
略歴: 医師だった祖母の勤務地、東ベルリン生まれ
    祖母の転勤に従い、4才で文化革命下の中国に移住
    1982年に日本へ帰国
    20才から、米国で航空工学と心理学を学ぶ 
    大学卒業後、アメリカン航空、英ヴァージンアトランティック航空、フィジーのエア・パシフィックに勤務
    2009年には国連職員としてアフガニスタンで働くが、武装集団に車を襲われ、彼女を除く同僚3名が死亡
東独にいた頃、国際線の機内で亡命者とおぼしき少女に「国から逃げるの」といわれ、将来を決めた。「飛行機は『人生を救う乗り物だ』と思い、大好きになった。」
ヴァージンアトランティックの入社面接では、社会問題や国際情勢の話題ばかりであった。佐藤さんは、「日本では、国際化=英語を話せるだけに思われがちだが、違う。自国の話を含む人種問題や宗教問題などを知らないと品性を問われるのが、国際社会なのに」と強調
「買春ツアーの日本人や欧米で買い物ざんまいの日本人クルーを見て、『飛行機で違うこともできるのに』と思ったのも、NGOに関わるきっかけ」とか。

槙文彦 (建築家)
東京、猪瀬知事等による「新国立競技場」建設に物申す
2020年のオリンピック開催地に決まった東京に、新しい国立競技場の建設計画が着々と進められている。コンペで決まったその競技場の大きさは、これまで最大級だった海外競技場の2〜3倍の規模であり、東京の風致地区である敷地に、景観上の問題があるのではないか。また、竣工後50年、100年と次の世代が管理、運営していかなければならない宿命を持つことになるが、維持管理していく費用が莫大であるのに、その収支計画の説明がない。ヨーロッパのような成熟した市民社会であれば、パブリック・ヒヤリングによって検証されるのに、都民や国民への説明なしに進められるのはいかがなものか。説明責任が必要。槙氏が個人的に願うこのプロジェクトの究極の理想の姿は、できる限り小さくし豊かな緑道によって包まれることである。

新羅土器


徳利として使える新羅土器です。大小様々な形の新羅土器をちょくちょく見掛けますが、この写真のものは三方向に線刻があるという珍品です。一番上の模様は蓮の花を表しているのでしょうか。焼成温度が高過ぎた為に火ぶくれができていますが、容量が250cc強で注いだ時のキレが良く、正に酒器としてぴったりです。

2013年9月29日日曜日

企画展 『祈りのカタチ』 終了

本日で、第二回企画展が終了致しました。この期間にわざわざ当店まで足を運んでいただいたみなさま、また品をご購入していただいたみなさま、どうも有難うございました。かなりマニアックな企画でしたが、特に私がかわいがっていた珍しい品を中心に、お客さまの手に渡っていきました。もう二度と出会わないだろうと思うようなものが旅立ちましたが、これからも、私が惚れ込むような品を探していきますので、どうぞよろしくお願い致します。

そして、昨日で、当店をオープンしてちょうど一年を迎えることができました。これも、みなさまに支えられての一年間であり、とても感謝しております。本当に有難うございました。当店は、流行ものを扱うわけではなく、私が好む品を第一に集めているセレクトショップです。それ故に、かなり個性のきつい品が多いと思いますが、今後ともよろしくお願い申し上げます。

それと、当店は狭い店内に常時300点ほどの品を並べておりますが、月に最低2、3回は新しい品を買い付けており、商品を入れ替えることが度々ございます。ブログに掲載している品に興味をお持ちで、ご来店されても、店内に展示していない場合がございますので、店主にご遠慮なくお尋ね下さい。また、ブログでは紹介しない在庫もいろいろとございますので、特に何かお探しの場合も、その旨お伝え下さい。


                          漢代灰陶加彩壺

2013年9月26日木曜日

企画展 『祈りのカタチ』

今回の企画展も、今日を含め後4日間となりました。ご興味をお持ちでも、まだご来店いただいていない方、お越しをお待ちしております。


神社で使われていた木製花器です。お社の軒下に置かれていたのか、雨水に打たれたような感じで、古木の木地と黒く変色した部分が何とも言えない景色を醸し出しています。高さ29cmとやや大振りです。

2013年9月19日木曜日

企画展 『祈りのカタチ』

アフリカのフィギュア


随分前に手に入れた、ブルキナファソの小さなフィギュア2体です。若い方の多くはご存知ないでしょうが、1984年まで、現在のブルキナファソはアッパーボルタという国名でした。私のコレクション歴は30年近くになりますが、最初は現代美術から始まり、その後、アフリカのプリミティヴなものに移っていきました。アーティストは作品を作って売らなければ生活ができません。しかし、こういったプリミティヴなものは、生活に根ざした宗教観の下、販売する為に作られたものではありませんでした。現代人が抱く様々な欲が移入されていない、純粋性に魅かれていったのです。



”PRIMITIVISM" IN 20TH CENTURY ART

本の紹介を致します。1984年にニューヨーク近代美術館(MOMA)から刊行された2冊組の本ですが、タイトルは上記したもので、内容は20世紀を代表する多くのアーティストが、アフリカやオセアニア及びその他の地域のプリミティヴな作品からいかに影響を受けたかということを検証したものです。特に私は、現代美術からプリミティヴなものに興味が移行したこともあり、80年代後半にこの本を購入しましたが、プリミティヴな世界で生きる人達は流行でもの作りをしていたわけではありませんし、今読み返しても彼等の作った造形美に感心してしまいます。私が感動するぐらいですから、20世紀の巨匠達はさぞかし魅了されたことでしょう。現在、この本の購入が可能かどうかインターネットで調べましたが、まだ買えるようです。私の持っている本は初版のハードカバーのものですが、二版目からはソフトカバーになったので、中古本なら8,000円台からありました。内容とボリュームから考えると、その値段は安いと思います。
余談になりますが、時々、世界は狭いなあと思う経験をします。私が海外に住んでいた時期、その国ではアート・ビエンナーレが行われていて、1997年にその審査員として、海外から3名、ローカルで2名選ばれたのですが、私も、友人である文化大臣のアドバイザーからローカルの審査員にと依頼がありました。その海外から招待された内の一人が、今紹介しました本の中でオセアニアを担当したフランス人のPhilippe PELTIERだったのです。その後、彼からパリで開催された展覧会への招待をいただいたりしましたが、一度も行けなかったことが心残りです。

2013年9月16日月曜日

企画展 『祈りのカタチ』

今、テレビでニュースを観ていますが、大型台風が本土に上陸していないにも拘らず、数十年に一度という大雨をもたらし、各地で災害を引き起こしているようです。まだまだ予断を許さない状況のようですので、災害の注意報が出されている地域のみなさまは十分にお気をつけ下さい。

さて当店では、いよいよ明日から第二回企画展の始まりです。みなさまのお越しをお待ちしております。

                      恵美須像

高さ11cmの小さな恵美須像ですが、美しく朽ちた姿は、まるで防具を身にまとった武士のような、力強い佇まいです。力強さのせいか、写真を見ただけでは大きな像かと想像されるのではないでしょうか。

2013年9月14日土曜日

企画展 『祈りのカタチ』


インド東部にナガランドという州があり、ナガ族が住んでいます。20年以上前、私がインドを訪れた際、ナガ族のフィギュアを探し歩いて専門店を見つけたのですが、物価が安いインドとは思われない高額品ばかり。値が高いねと言うと、お前はインターナショナルな価格を知っているのかと返答されました。結局、その店ではナガのものは買わず、他の部族のマスクを購入しました。この写真のものは、魚をモチーフにしたナガ族のペンダントです。数百年経っているオリジナルですが、今も土産物としてコピーを作っていて、古いものはガラスビーズを使用していますが、今はイミテーションのプラスチックだそうです。このようなビーズは現地生産ではなく、交易で手に入れたようで、やはりシルクロードを通じての取得品だったのでしょう。なお、ナガ族はビルマにも住んでいて、前回のブログではチン州のフィギュアを紹介しましたが、チン族とナガ族の文化は似ているそうです。そりゃ、昔は国境なんてなかったですものね。

2013年9月11日水曜日

企画展 『祈りのカタチ』

今回は、ビルマの品を2点紹介致します。


まずは18世紀の仏教ものですが、これが何なのかが正確には分かりません。蓮の上に乗っているようなので、如来ですか。裏にはいくつかの釘が残っていて、恐らく寺院のレリーフとして取り付けられていたのでしょう。


私はつい最近まで知らなかったのですが、ビルマでは、外国人が訪問できる場所が限られていて、多くの地域は立ち入りができないそうです。この写真のものは、ビルマの中西部にあるChin州から出た、薬木で作られたフィギュアです。仏教国であるビルマでも昔ながらの土着の信仰が残っていて、これは精霊崇拝の対象物だそうですが、どれだけ古いかは不明です。とにかく珍しいものです。
現在、日本ではビルマをミャンマーと呼んでいますが、国や人によって呼び方が違います。どうも、政治的な問題も絡まって呼び方に違いがあるようです。

2013年9月7日土曜日

企画展 『祈りのカタチ』

本展を始めるまで、出展します商品の中でも珍しい品を選び、少しだけ紹介致します。この企画に相当します品は100点以上ございますので、ご興味のある方は是非この企画展へお越し下さい。
なお、お盆以降にブログで紹介しております品は、すべてこの企画展に出品するものです。

まずはイスラーム関係です。


クルアーン(コーラン)の古い写本1ページ分です。アクリルのフレームに入れましたので、裏面も見ることができます。シリアで購入しましたが、イランのものではないかと思っています。キリスト教のバイブル等は、世界各国の言語に訳されていますが、クルアーンはアラビア語であるべきだとされています。文字そのものと同時に、アラビア語で読まれるクルアーンの音色が美しく魅力的なのです。日本でも書道というものがありますが、アラビア文字のカリグラフィーは盛んに書かれていて、額装したものがアラブ諸国でよく売られています。


モロッコで手に入れたシルバーのペンダント・トップと指輪です。アラビア語で、「ムハンマド・ラスールッラー(ムハンマドは神の使徒なり)」と彫られています。ベドウィンの村で、2点とも同一人物から出たそうです。

2013年9月3日火曜日

企画展 『祈りのカタチ』

第二回目の企画展を開催致します。人類がこの地球上に誕生して以来、自然崇拝を初めに、今日までの長い歴史の中で、様々な宗教が生まれました。その中で、それぞれの宗教観を基にした造形物が作られましたが、それらは、直接祈りの対象であったり、神への貢物であったり、亡くなった祖先への贈り物であったりと、多種多様な形を成しています。今回の企画展では、アニミズムをはじめ、一神教や仏教、神道、儒教、ヒンズー教等の下、人間の祈りを形にしたものたちを展示致しますので、どうぞご来店下さい。

2013年9月17日(火) - 29日(日)  12:00 - 18:00
企画展中は休店日なしで営業致します



2013年8月29日木曜日

唐代、青銅器


青銅の椀に花を生けてみましたが、元は仏具だったのでしょうか。青銅と佐波理は成分がほぼ同じですから、中国の青銅が朝鮮に伝わり、佐波理と呼ばれるようになったのでしょう。通常、緑青は粉を吹いたようになりますが、この器の緑青は青銅自体に入り込み、触れてみても粉っぽくありません。とにかく、美しく深いグリーンです。

2013年8月22日木曜日

ワヤン・ゴレック


ワヤン・ゴレックとは、インドネシアのジャワ島で、割礼や結婚、田植えや収穫等の儀礼に際して、ガムランを伴奏に演じられる人形劇です。長い更紗のスカートをはいた古手の操り人形も持っていますが、上の写真にある、短いスカートをはいたトルソーが私のお気に入りです。頭部を紛失していますが、女性らしいフォルムで、古作でありながらモダンな感覚がするところに魅かれています。

2013年8月15日木曜日

8月15日


若い頃の私は、あまり信仰心がなかったのですが、歳を取るに連れて宗教に興味を覚えるようになりました。新暦では、8月13日の迎え盆から16日の送り盆までがお盆とされているようですが、日本古来からある、先祖の霊に対する信仰と、仏教が結びついて、この行事が生まれたようです。先祖があるから自分が存在するわけですから、私は時々、感謝の念を持って先祖に手を合わせるようにしています。

話は変わりますが、今日は我が国の敗戦記念日でもあります。先程、終戦記念日の集まりで、安倍晋三首相が、歴史を謙虚に振り返り、平和な日本を構築するというような話をしていましたが、本心でしょうか?昨夜、「オリバーストーンが語るもうひとつのアメリカ史」の再放送があったので、再度観ましたが、ベトナム戦争を起こしたアメリカの指導者たちが、嘘で固めたプロパガンダで、340万〜380万人のベトナム人を殺したのです。それに比べ、亡くなった米兵は5万8千人。その戦争で投下した爆弾は第二次世界大戦で使用した量の3倍だったとか。その後は、現在に至るまで嘘を積み重ねて戦争を引き起こしています。特に、シオニスト国家であるイスラエルの為なら、どこでも潰そうとする。アメリカの正義とはどんなものなのでしょう。そんな国の不正義にもすり寄ろうとする日本政府、経済優先で危険な原発輸出を押し進める日本政府、世界の恥ではないのでしょうか。福島第一原発の事故は今も汚染を広げています。これは当事国である我が国だけの問題ではなく、世界中に悪影響を与える国際犯罪ともいえるものです。日本人の選択って、悪しき過去を本当に反省し、人間らしく生きる未来を見据えたものなのでしょうか。
8月15日は、私の娘の誕生日であり、母方の祖母の命日でもあります。私にとって、身内の生と死の日。つい、いろんなことを考えてしまいます。

2013年8月8日木曜日

Guglielmo Achille CAVELLINI

先月、私が海外に住んでいた時の友人から貰ったボイスのポストカードを紹介しましたが、その友人は、メールアートで世界的に知られていたイタリア人のカベリーニとも親しかったので、彼から送られてきたものも私にくれました。そのカベリーニという人、すごいお金持ちで元々はアートコレクターだったのですが、とんでもなくユニークで、自分で勝手に郵便切手を作って使用し、警察に捕まった経歴もあります。まあ、それが彼のアーティストとしてのパフォーマンスの一部だったのでしょう。日本人のメールアーティストとしては、今年亡くなった元具体メンバーの嶋本昭三氏が有名ですが、嶋本さんもカベリーニを日本に招待したことがあります。現代美術に詳しい方しかカベリーニの存在をご存知なかったかもしれませんが、1974年にはアンディ・ウォーホールが彼のポートレイトの作品を作っていますから、知る人ぞ知る有名人だったのです。インターネットでカベリーニ、メールアートを検索すると、嶋本さんがカベリーニについて書いた文章が出てきますから、ご興味のある方は読んでみて下さい。笑えます。


左が、カベリーニの作った切手の一部です。中央はベニスのギャラリーで展覧会をした時のステッカーです。別のギャラリー用に作ったステッカーを、私の海外旅行用ラッゲージに貼っています。どのステッカーにも、自分の名前の下に1914-2014と印刷していますが、彼は1914年生まれで100歳まで生きようと思っていたのでしょうか。実際には、1990年に亡くなっています。右のはポストカードで、ボディペインティングしているのがカベリーニ本人です。


ポストカードの裏側です。自家製の切手に自家製のスタンプを押しているでしょ。

2013年8月3日土曜日

ビザンチンの斧


エルサレムで手に入れたビザンチン時代のブロンズ製、斧の先です。暗い室内でスポットライトに照らされたこの斧に魅せられて購入しました。ビザンチン帝国は395年から639年までパレスチナを支配していましたから、その頃のものでしょう。ひょっとすると、これは戦闘用かもしれませんね。

2013年7月31日水曜日

安永正臣


私が現在の店をオープンするまでの約2年間は、現代陶芸家の作品を80点ほど購入したのですが、開店後は現代ものを全く買っていませんでした。2年前に初めて見せていただいた安永正臣さんの個展で、気に入った磁器の片口を1点購入し、先日、若い陶芸家の展覧会を中心に展開されているアートサロン山木さんで、上の写真にある作品を買いました。通常、やきものは土を使用しますが、上記の作品には全く土を使わず、釉の原料となる長石や灰等だけで成形し、砂に埋めて焼成するそうです。まだ30才過ぎの若者で、陶芸家の家系を継いでいらっしゃるわけではないので、自分の思う通りに自由な発想でもの作りができるのでしょう。こういった珍しい作品以外に、磁器や焼〆も作られており、手頃価格に設定されています。安永さんと初対面の際、ご本人にも言ったのですが、濁りのない澄んだいい目をされていました。

2013年7月25日木曜日

縄文土器



先週は、公園で拾って来た小枝を李朝の筆筒に入れましたが、今回は、同じ小枝を縄文土器鉢に入れてみました。小さくシンプルなフォルムの土器ですが、黒く引き締まって存在感があります。私は、どうもこのような枯れたイメージを好むようです。

2013年7月18日木曜日

李朝、筆筒


先日、近くの公園を歩いていた際、良い感じの枯れた小枝が落ちていたので店に持ち帰りました。早速、それを飾ろうと適当な花器を探していて、結局は李朝時代のこよりで作られた筆筒に入れました。卍が描かれているので、寺院で使われていたものでしょうが、木を芯にしてこよりを巻き付け、筒の内側には、漢字で文章を書いた韓紙が貼られています。李朝時代には仏教が弾圧されたようですが、豊臣秀吉による朝鮮出兵の際、僧侶が国を守る義勇団として活躍したため、その後は弾圧がかなり緩められたそうです。

2013年7月11日木曜日

斑唐津 (桃山〜江戸初期)


発掘ものの小皿ですが、部分的にかせている以外はニューもなく、ほぼ完品です。写真では実際の色が完全には再現できませんが、もう少し紫がかっていて、斑唐津の優等生とでもいえる発色です。深さがなく盃には使えませんが、これがもし立盃であれば、すごい値がつくのでしょうね。

2013年6月27日木曜日

戦国時代、印文陶


中国、戦国時代の灰陶印文双管耳壺です。2200〜2400年程前に作られたものですが、その頃の日本は、まだ縄文土器の生活でした。中国文明は世界四大文明の一つですから、文化も発達していたんですね。日本の須恵器製造開始は、これより600〜800年近くも下りました。この壺はシンプルなデザインの上に、凛とした佇まいです。

2013年6月20日木曜日

ダヤック族、ソウルボート


カリマンタンには、海辺に住むシー・ダヤックのイバン族と、陸地に住むランド・ダヤックのビダユ族が存在します。このボートはイバンのもので、文字の書いてある側を手前に置かなければならないそうです。そうすることによって幸せの方向へ向かうという、昔ながらのまじないなのでしょうね。木を削った鑿の痕が、いかにもプリミティヴです。

2013年6月13日木曜日

琉球、知花古窯

非常に珍しい、知花古窯の甕です。桃山後期から江戸初期の頃に作られたものでしょう。尚貞王の時代、1682年に、涌田窯、知花窯、宝口窯を統合して新しい窯場が作られ、それが壺屋焼の始まりです。


肩の部分のアップです。二本の輪線以外に、窯印と短い波状紋が刻まれています。1609年には薩摩藩の琉球侵攻がありました。丸に十は島津の家紋ですが、偶然なのか、この窯印はそれと似ていますねえ。日本でも、蝦夷征伐や琉球侵攻等、強欲な人々によって迫害や領土拡大が行われましたが、そんな行為に直接関わらなかった人達の間でも、何も問題がなかったように扱われてしまう。世界中で同じようなことが起こっていますが、悲しいかな、人間とはそんな生き物なのでしょうね。民主主義とは、間違っていようが、単に賛成多数を採用する制度ですから。

2013年6月6日木曜日

アラブのランプ


レバノンで発掘されたアラブのオイルランプです。内部には使用された当時のチャコールがまだ残っています。8〜12世紀のものと幅広いレンジで鑑定されていますが、現地の考古学者による証明書付きです。

2013年5月30日木曜日

黒田泰蔵

商品の紹介ばかりでは退屈でしょうから、たまには私のコレクションの中で珍しいものをお見せ致します。
繊細かつ素敵なフォルムの白磁で有名になられた黒田泰蔵さんですが、こちらは世間ではあまり知られていない初期の作品です。22年ほど前、大阪で初個展をされた際に購入しました。お兄さんが著名なイラストレーターであり、その関係もあって、作品は完売だったような記憶があります。当時は、このような焼〆のオブジェを作られていました。私は力強い作品を好むので、これを選んだのですが、高校時代は空手部に所属されていたこともあり、自画像ではないかと私は勝手に推測しています。
その初個展の後、泰蔵さんは高校時代の同級生であった親友と、日本を代表する茶道具屋である谷松屋 戸田商店を訪問され、現社長の戸田博さんから白磁をやってみればどうかとアドバイスされたそうです。同伴した泰蔵さんの親友が私の親友でもあったため、その日の内にそのような話をお聞きしました。それを機会に白磁制作を始められたのでしょうが、現在では国内外で活躍され、海外の著名人にも人気があるようです。